葉酸とはどんなものか
妊婦さんに限らず葉酸は必須のビタミンとして知られていて、ビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸を葉酸と言います。
「葉酸(folic acid)の構造式グルタミン酸(左)にパラアミノ安息香酸(右)が結合した構造」
葉酸は体内でテトラヒドロ葉酸となり、主にアミノ酸や核酸の合成を仲介します。したがって、DNA合成が活発に行われる血球分裂などは直接影響を受けるので赤血球障害や悪性貧血に陥ります。
また、アミノ酸合成にも重要であり、体内でテトラヒドロ葉酸となった形でグリシンの代謝、ホモシステインからメチオニン生成、ヒスチジンからグルタミン酸への代謝を担っています。
必要な栄養素ということです。
成人の必要摂取量
成人男女が一日に摂取すべき量は推定平均必要量が 200 μg、推奨量が 240 μg、上限量が 1,000 μgと厚生労働省によって推奨されているが、妊娠期の女性は400 μgを一日に摂取することが望ましいようです。おなかの中でぐんぐん育つ赤ちゃんにも葉酸が必要ということですね。
しかし、摂りすぎもよくないようです。葉酸の過剰摂取によってビタミンB12の欠乏を分かりにくくするので悪性貧血が潜在化したり、がん治療で用いる抗葉酸剤が効きにくくなり、蕁麻疹や発熱などを起こすとされています。
葉酸の欠乏によってどうなるか
一方、欠乏するとどうなるのでしょう。妊婦さんは真っ先に赤ちゃんへの影響を気にされると思いますが、一般的にアミノ酸やDNA合成が活発な細胞分裂を伴い箇所に支障をきたすとされています。主には貧血、免疫力低下、消化管機能、心臓病、前立腺がん、大腸がん、子宮頸がんが知られています。
妊婦さんが葉酸不足となると赤ちゃんに重篤な障害が起こる可能性も
赤ちゃんはお母さんの体内でぐんぐんと栄養を吸収し成長しているのですが、葉酸が不足すると、初期の段階で形成される神経管と呼ばれる脳・脊髄の基となる細胞の一部が塞がり「神経管閉鎖障害」が起こるとされています。神経や脳の障害なので介護が必要になる場合に陥るようなので注意が必要です。また、糖尿病や肥満、てんかん薬の内服、妊娠初期の高熱発作、放射線被爆、ビタミンAの過剰摂取も神経管閉鎖障害の原因となるようです。
葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果(厚生労働省)
妊娠期間中の環境や遺伝によっても発症するようですから、葉酸不足だけが要因ではないようですが、アルコールの過剰摂取も葉酸の摂取を妨げるので注意しましょう。いづれにせよ、葉酸の摂取は発症リスクを70~80%も抑えられるといわれているので葉酸は摂取するに越したことがないようです。
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